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【書評】オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで -ケン・スティグリッツ

書評

オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで

著者:ケン・スティグリッツ

出版社:日経BP社( 2008-04-24 )

価格:¥ 2,520

単行本 ( 303 ページ )

ISBN-10 : 4822246639

ISBN-13 : 9784822246631




古くは芸術品売買のクリスティーズやサザビーズなど250年も前から存在したものから、最近ではYahoo!オークションやビッダーズなど不特定多数の人が参加できるようになるなどオークションで商品を売買することは当たり前になっている。

オークションは競売・セリなどと呼ばれており、ある1つの商品に対して複数の購入希望者が購入希望金額を提示して、最高金額を提示した者が商品を購入することができる仕組みである。

ここで、ひとつ疑問を。

「なぜ、オークションで売買する必要があるのか?」


たとえば、バナナはスーパーで200円程度で販売されており、レジで200円を出せば購入可能だ。しかし、ゴッホの絵画はお店では売られているか?仮に、画廊で販売されているとしよう。ではそこに定価1000万円と値札があるだろうか?画廊主にとって売りたい金額はあっても、恐らく値札はないだろう。

このバナナとゴッホ絵画の差はなんだろう。根本的な差は、市場メカニズムが働くかどうかだ。。バナナの売買には、売り手(生産者)・買い手とも無数に存在し、価格を通じて需給は均衡する。一方で、ゴッホの絵画の売り手(生産者)は1人であり、売り手の数が1というのは独占市場である。ましてや芸術品ともなれば、究極の嗜好品であり希望購入金額は千差万別。

このようなケース、つまり市場メカニズムが働きにくい場合にオークションシステムが必要とされる。
つまり、売り手が一方的に価格を決定するのではなく買い手の希望購入金額を提示させ競わせるのである。

本書では、このオークションの仕組み・メカニズムをまず解明する。

まずオークションといっても、大きく2つに分けられる。

  • 美術品のオークションのような値段が吊り上っていく形式のオークションをイングリッシュオークションという。
  • 逆にバナナの叩き売りのような値段が下がっていく形式のオークションをダッチオークションという。

  • イングリッシュオークションでは、なるべく安い金額で入札したいと思う買い手は相手の出方を見る。ダッチオークションでは、安いほうがいいがあまり辛抱していると、誰かに先に落札されてしまう。いずれにせよ、相手の出方を考えて行動する必要がある。オークションが経済学のゲーム理論で研究される所以でもある。


    さて、前置きが長くなったが本書の構成はオークション基礎、オークション形式の分類とインターネットオークションの研究である。
    数式を用いた教科書的な使い方もできる(数学付録つき)し、オークション理論の概要をつかむにはもってこい。何よりも、一度Yahoo!オークションにでも参加してみたほうがよい。

    ただ、日本のヤフオクと本書に登場するイーベイオークションでは同じインターネットオークションでも異なる点があることに注意してもらいたい。ファーストプライスオークションかセカンドプライスオークションの差なのだが、それは本書を通じて理解できる。

    前半部分ではオークションの骨格を満遍なく取り扱っているので、そこだけでも読む価値はある。一方で、後半は著者の体験記?のような記述も目立つので学術書として読むのは難しい。

    ある条件のもとでは、どんなオークション形式でも期待値は等価となることが分かっているので、そちらも是非理解しておきたい。

    新しい商品売買のスキームを知るにはもってこいの一冊。

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