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【書評】ストレス百科事典-ストレス百科事典翻訳刊行委員会

東日本大震災の後、出版業界からは災害、放射能関連の書籍を無償公開する企業が相次いでいる。岩波出版、丸善出版あたりが先陣を切っている。救援活動や原発についての書籍が多い。
ここでは、丸善出版から出版された『ストレス百科事典』の一部を紹介する。

丸善出版株式会社

地震・津波で家族や財産が流されてしまえば、誰もがストレスを感じるだろうが、それ以外にもこの災害時に感じるストレスがあるという。
「生存罪責感情(Survivor Guilt)」と呼ばれるもので、端的には災害で生き延びたのではなく、生き延びてしまった事への自責の念に感じるストレスでああり、誰かを助けられずに自分だけ生き残ってしまったと自分を責めるのである。

直接的な災害から逃れ、生き延びたことは嬉しいことだと通常は考える。あの大地震、そして津波から生還するのは日ごろの防災対策の賜物であって、責められる事はありえない。

では生き延びること自体にストレスを感じるとはどういうことだろうか。

この生存罪責感情とは、1960年代のホロコースト研究から始まり、ホロコースト生存者の中にある生き残ってしまったという強烈で消え去ることのない特別な感情への焦点からスタートした。

その後、広島の原爆や9.11のテロ事件後にも注目された、人災、天災後のひとつの人間のパターンだそうだ。

生存罪責感情の最も際立った特徴は、生き残った自分を責めるという倫理的な判断である。生存罪責感情に苦しむ人は、自らの代わりに死亡した人のほうが生きるべきだったと語ることが多く、他人を助けることが出来なかったという倫理的な呵責に悩まされることとなる。

ホロコーストにおいては、加害者は自分を正当化する傾向にあり、被害者は状況から救済は不可能である中でも両親や兄弟を助けられなかったと生存罪責感情に陥りやすいという。つまり、これは完全なパラドックスである。

自然災害においては、加害者は自然であり責めるべき相手ではない。このような状況ではパラドックスは生じないが、被害者はまるで加害者のような認識をするだろう。

これから復旧、復興活動が進むにつれ、生存罪責感情が芽生え始めるのではないだろうか。

東日本大震災では、ガレキに埋もれて怪我をするような事例(阪神淡路大震災で多かった事例)は少なく、外傷なく生き残ったか・亡くなったかの2つのパターンが多いといわれている。生き延びれたということは家の近所の高いところに逃げられた人だけだったということになる。

今後、緊急医療チームが活動するのは、避難生活からのストレスからくる体調不良が多くなると予想される。さらに、生存者は生存罪責感情が芽生えることもあるだろうし、医療チームですら生存罪責感情になる可能性もある。

家族のうち1人だけ生き残った人、パートナーを失った人、未曾有の大震災では生存罪責感情は膨れ上があるはずである。
まずは、客観的に生き残ることが決して誰かの犠牲に成立することではないということ、そして自分自身は決して加害者ではなく被害者であること、生存者は自分を責めるのではなく失ったことを悲しみ、そして新しい人生を歩めるよう、精神療法やケアが重要な復興活動の原動力となるはずである。






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