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【書評】日本の難点-宮台 真司

書評

日本の難点 (幻冬舎新書)

著者:宮台 真司

出版社:幻冬舎( 2009-04 )

価格:¥ 840

新書 ( 286 ページ )

ISBN-10 : 4344981219

ISBN-13 : 9784344981218




ブルセラ論争から改憲論まで幅広い展開をみせる宮台真司の新書である。なぜ新書で?と思わせるほどの重厚な内容だ。軽く手にとってスラスラと読み進めることは不可能であり、横文字・造語・難解なジャーゴンが目白押し。しかし、著者は言う。

「本書はこれ以上ありえないというほど、かみくだれて書かれています。本書に難解なところがあるとすれば、それは記述の難解さではなく、事柄の難解さによるものです。通読すれば眩暈をするでしょうが、それは圧倒的情報量による眩暈ではなく、<社会>の複雑さによる眩暈でしょう」


そうかねぇ。わざわざ難解な言葉を選んでいるようにしか見えない。むしろ、社会の難解さという事を前面に出しながらも、本書レベルが咀嚼できない程度なら、社会を評価する資格は無いと突きつけられているような気持ちになる。

本書を読んで思った。10万部を越すベストセラーとなった本書だが、誰が理解し誰が共感し、誰がその社会を実現しようとしているのかと。この部数が指し示しているのはいわゆる一般大衆の手元に届いているということだが、本棚にしまってあるパーセンテージは高いのではないか。

全体的にみてトピックス自体は、いまこの時代にぴったりの構成だ。

1章・人間関係はどうなるのか(コミュニケーション論・メディア論)
2章・教育をどうするのか(若者論・教育論)
3章・幸福とはどういうことなのか(幸福論)
4章・アメリカはどうなっているのか(米国論)
5章・日本をどうするのか(日本論)

この中で彼の持論の「軽武装・対米依存」から「重武装・対米中立」を宣言する部分では、「重武装とは、対地攻撃能力を中核とした反撃能力による攻撃抑止能力を備えること」で、それに続けて「それには専守防衛の憲法9条を変える必要がある」と説く。また、昨今問題になっている企業による新卒内定者の取り消し問題については、問題は学生側にあると説く。端的には予見性なし。甘いと。

このあたりは何ら前提知識なしにでも読み進められる。抽象度が低い部分といえる。しかしその後、一気に抽象度を上げて日本全体・社会全体を包含した日本の難点に処方箋を下す。単著でこの40を超える論点に処方箋を下すというのはさすが宮台である。

あまりにも極端で、あまりにも過激に見えるかもしれないがそれを高々と宣言できる、それがあまりにもスカっとしている。モヤモヤがない。宮台ファンが若者に多いのも、このスカっとさが根底にあるのかもしれない。

日本の総括を一人の人間にさせてしまうというのは、今の論壇の衰退とも感じ取れる。

宮台を知らない人に是非読んでもらいたい一冊。



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