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【書評】スパイと公安警察-ある公安警部の30年-泉修三

書評

スパイと公安警察-ある公安警部の30年

著者:泉修三

出版社:バジリコ( 2009-01-07 )

価格:¥ 1,680

単行本 ( 269 ページ )

ISBN-10 : 4862381227

ISBN-13 : 9784862381224




公安警察というのは、極左団体、右翼団体、外国諜報機関の諜報活動、国際テロリズムなどを捜査する部隊であるようだ。
市民の安全を守るお巡りさんとは若干違って主に国家の治安・体制を脅かす事案、若しくはそういった事態につながる可能性がある事案に対応するようだ。

この公安警察に30年携わった著者の半生を綴った本書は、生々しくも自意識に溢れた回顧録として読める。

国家に忠誠した警察官の仕事への執着心は、脱帽する。
たったひとつの情報(例えば部屋番号を知る)を得るために、数日張り込むのはザラにあるといい、そんな情報が何に役立つのか分からないような情報をかき集めてひとつの事実、証拠を作り出す様は曲芸のようにみえる。

本書を、公安警察のノンフィクションとして読むと少し物足りないかもしれない。
ただ、素人の私としては防諜活動と諜報活動の違いが分かっただけでも、読んだ甲斐があった。

ちなみに、
防諜(Counter-intelligence)は、諜報戦にて、敵のスパイ活動に対抗し、無力化することにあるようだ。日本だと、本書の警察庁警備局外事情報部、USのFBI、ロシアのFSBなどが担っている。
一方で、諜報は情報を収集する側であり、それが非合法だとスパイ活動になるようだ。CIAやKGBがそれを担っている。


本書は、第三者が書いた実態ではないので、本人と事件との関わりにとどまる。なので、ドラマでいうクライマックスの途中で話が終わってしまうことが多々ある。たとえば、事件の結末を「知らない」「末端の人間には知らされていない」などと結末付けるので、小説のようなものとして読み進めると、一番重要な部分が抜け落ちていることには注意が必要。

ただ、公安警察の緊迫した情報合戦を襖の隙間からこっそり覗いているような気持ちで読むと、スリリングな本であることは間違いない。
そして、日本の安全が、このような人たちの高い忠誠心と執着心によって守られているのは事実である。各種レビューでは、公安警察自体への批判や、著者への批判もあるようだが、あくまでも回顧録であり客観的なノンフィクションではないことははしがきから分かっていることなはず。

普段の生活ではほとんど知られることのない公安警察の日常業務が、飲み屋で語られるかのような調子で読める一冊。




ちなみに、本書は電子ブックとして販売されています。(AppStore)

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