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【書評】体系的に学ぶデジタルカメラのしくみ 第2版-神崎 洋治
- 2010-07-22 (木)
- アート・建築・デザイン
著者:神崎 洋治 西井 美鷹
出版社:日経BPソフトプレス( 2009-01-29 )
価格:¥ 1,995
単行本 ( 304 ページ )
ISBN-10 : 4891006277
ISBN-13 : 9784891006273
CANONのEOSKissDigitalの登場が起爆剤となりデジタルカメラは爆発的に普及した。
ケータイ電話のカメラもデジタルカメラのひとつと数えると、1人に1台以上の普及である。
普及率に比例して、ハイアマチュア・プロ仕様のハイスペック機と、入門者仕様のお手軽機の2極化が進んでいることは間違いない。
お手軽機は、より簡単に、ただ見たものをボタンひとつで綺麗に取れるようなメニュー・仕組みが数多く搭載されている。逆に言えば、マニュアルでの自分の意思・意図が反映されづらい部分もある。
カメラを身の回り品の1つと見れば、何も仕組みまで理解する必要はないが、趣味のひとつと位置づければ仕組みくらいは理解しておいたほうがいい。
本書は、「綺麗な写真をどう撮るか」には一切言及していない。「カメラとは、レンズとは、撮像素子とは」のオンパレードである。
端的には、デジタルカメラを機械として見た場合の仕組みの解説である。
例えばレンズの章では、レンズの良し悪しの指標となる収差については、どういう現象なのか、そしてどのような場合に起きるのか、どのような解決策があるのかを歪曲収差、球面収差などザイデル収差すべてに数ページにわたって細かく説明してくれる。
樽型になった写真はよくないというステレオタイプな良し悪し判断ではなく、根本原理を理解することは撮影シーンで非常に役に立つだろう。
それ以外に有益だと感じた点は、
・カメラの歴史が体系的に、そして概要だけがわかる。
・絵作り、撮像素子などカメラメーカー各社の比較ができている
・顔認識などの、最先端のデジカメ機能の仕組みが取り入れられている
である。
雑誌の連載と比較して本書は取り上げる範囲と説明の深さ圧倒的である。
ただ、繰り返しになるが、本書を読んで構図やフレーミングが上達するわけではない。あくまでも、仕組みの理解だけである。
ただ、シャッターを押す瞬間に構図だけではなく、光が入射し、CMOS・CCDに信号が流れて・・・・と原理がイメージすることはきっと役に立つはず。
普及機ではもの足りないと感じて、上位機種に手を伸ばすまえに一度読んでおくべき一冊。
【書評】新 冒険手帳―災害時にも役立つ!生き残り、生きのびるための知識と技術-かざま りんぺい
- 2010-05-20 (木)
- 暮らし・健康・子育て
新 冒険手帳―災害時にも役立つ!生き残り、生きのびるための知識と技術
著者:かざま りんぺい 佐原 輝夫
出版社:主婦と生活社( 2006-03 )
価格:¥ 1,000
単行本 ( 239 ページ )
ISBN-10 : 439113120X
ISBN-13 : 9784391131208
(2011年4月5日追加更新あり)
阪神淡路大震災が起きて、もう15年も経つ。淡路島北部の明石海峡を震源とする甚大な被害をもたらした震災である。
これは事件ではなく、自然災害であるため、加害者はいない。だから「もうこのようなことが起きないように厳罰を」とはいかない。
つまり、自然の気分次第では繰り返される可能性はある。ましては、被害にあう範囲、被害の度合いは人間が起こす犯罪の比ではない。
# 死者、重傷者、軽傷者合わせて5万人。
# 避難人数 : 30万人以上
# 住家被害 : 全壊104,906棟、半壊144,274棟、全半壊合計249,180棟(約46万世帯)、一部損壊390,506棟
# 火災被害 : 住家全焼6,148棟、全焼損(非住家・住家共)合計7,483棟、罹災世帯9,017世帯
# その他被害 : 道路10,069箇所、橋梁320箇所、河川430箇所、崖崩れ378箇所
という甚大な被害状況である。
このような状況では、生活するレベルではなく生き延びるレベルに水準は落ちる。
水道を捻れば水がでる、コックを回せば火がつく、コンビニでワンコインも出せば満腹になる、これが出来ない生活を想像できるか。
海水や泥水から飲み水を作る、空き缶でご飯を炊く、うさぎの皮をはいで食べるなど、「何もない」状況で生き延びる術を会得しようじゃないか!というのが本書のコンセプトである。
特段、災害時に生き残る方法に限った話ではなく、遭難時であれ、キャンプ中であれ、道具や機械など現代文明に頼らず生きていくための知識と技術である。
人間は、唯一火を恐れない動物だといわれている。しかし、ライター以外で火を熾せる人がどれくらいいるだろうか?
現代人の中で何人が木から、斧・ナイフ・いかだなどを作れるだろうか?
生きているうちに大震災で家屋崩壊する確率は限りなく低いだろう。その現象に備えるために本書を読んで火を操る練習や狩りの練習をする必要があるかどうか。それは個々人の判断だが、自分がどれだけ道具に頼って生きているかを知るにはもってこいだ。
またロープの結び方やナイフの使い方、薪の燃やし方や魚のさばき方、地図の見方や救命救急法など、アウトドアライフにそのまま役立つ情報も豊富に扱っている。仮設トイレの設営方法は、本書以外で見たこともない。
いくら文明に逆行するとはいえ、ペットボトルを活用したりと、縄文時代に戻るわけではないところが「新」冒険手帳である。
災害に備えるのは、最近でもよくメディアで取り上げられているが、それはあくまでも道具を揃えるだけだ。
災害用に水を○○リットル、保存食を○日分と、全てモノを備えるだけで、誰かが助けにきてくれるという大前提に立脚している。
しかし、本書はレスキューが来ないという前提だ。自分で水を作れと、自分で食料を確保せよと、自分で生き延びろというわけだ。
道具に頼った人生を捨てたいと思える一冊。
—(2011年4月5日追加更新)—
この度の東日本大地震では
【書評】オートキャンプのマル秘テクニック教えます-パンチョ向井
- 2010-05-17 (月)
- 暮らし・健康・子育て
オートキャンプのマル秘テクニック教えます (OUTDOOR HANDBOOK)
著者:パンチョ向井
出版社:地球丸( 1999-06 )
価格:¥ 1,050
単行本 ( 191 ページ )
ISBN-10 : 4925020536
ISBN-13 : 9784925020534
これからまさにキャンプシーズンに突入するわけだが、年々オートキャンパーは減っているという、700万人程度が年に一度はキャンプをするといわれているが、1996年に1580万人のピークに達して以来下がり続けている。
この20年で半分になったわけだが、キャンプだけがアウトドアライフではなくなっている側面もあるだろう。
最近では登山をする人も増えており、またツーリングやサイクリングなどキャンプ以外での野外活動は増えている、と思う。
本書はこのキャンパーに向けた書籍であり、刊行されたのが1999年と恐らく1400万人程度は読者層はいただろう。
今読んでみても、オートキャンパーに限らず、アウトドア好きにはお勧めできるマル秘テクニック集だ。
あ、ポールが折れた・・。あ、強風でテントが飛ばされた・・。
と起きてからでは遅いような事前に知るべき応急処置方法から、テントサイトのレイアウト方法やコンロやバーナーの選び方まで広く取り扱っている。どんなキャンパーでも、いくつかはなるほどとうなるページがあるはずだ。
この目次を見れば、きっといくつかの疑問点が沸いてくるだろう。
第1章◎出発準備とキャンプサイトづくり
自分にあったキャンプ場を探すコツはありますか
どんな服装で行けばいいのでしょうか
雨具でこれがいい、というものはありますか
スニーカーでキャンプにいってはいけない?
いつも食材を買いすぎて、余ってしまいます
買い物は出発前にしてしまうものですか
車に積み込むコツがあれば教えてください
テントとタープ、どちらを先に張るべきか
手づくりキャンプ場開拓史・・・その1
第2章◎テント&タープ
テントやタープを張るとき、正しい向きってあるの?
タープをひとりで張ることはできますか
タープをしっかりと張るためのロープワークを教えて
強いポールの条件は?選び方のポイントはあるの?
地面が固くてペグが打てないときはどうしたらいい?
タープの付属品のペグではタープが張れなかった
タープのロープがねじれて絡みつきほだけなくなった
ロープの自在金具が壊れた。応急処置はできますか
タープに水がたまる、これは張り方が悪いの?
風が強くなってもタープはそのままで大丈夫ですか
雨の心配がなくてもテントのフライシートって必要?
テントに付いているロープは何のためにあるの?
自立型テントでもペグを打たなければいけないの?
テントのポールが折れた、応急処置できるの?
テントにたばこで穴をあけた、応急処置の方法は?
カビが生えたテント。きれいにすることはできますか
手づくりキャンプ場開拓史・・・その2
第3章◎ツーバーナー&ランタン
ガソリンツーバーナーに火がつかない。原因は?
ツーバーナーやランタン。ポンピングは何回するの?
何回ポンピングしても空気圧が上がらない。なぜ?
燃料は満タンだが、点火しても火力が落ちる
燃料満タンの目安は、どこで判断するの?
燃料を補給する目安はなんでするの?
寒くてツーバーナーの炎がなかなか安定しない
燃料じょうごを忘れた。代わりに使えるものは?
ガソリンランタンの明るさが不思議。どうして?
マントルが光るのには、どんな秘密があるの?
ランタンのマントルは、使うたびに交換するの?
マントルに穴が開いたけどそのまま使えますか?
マントルの形状やサイズが違うと使えないの、
ガラスグローブにひびが入った。そのまま使える?
ランタンやツーバーナーは雨に濡れても大丈夫?
テントの中でツーバーナーは使えない?
テントの中でランタンやツーバーナーは使えない
明かりはランタンだけです賄えますか?
ランタン・スタンドはないが、ここに明かりが欲しい
ガスカートリッジはメーカー指定商品しか使えない。
ホワイトガソリン専用器具にレギュラーガソリンは?
ジェネレーターの交換に必要な工具は?
小学校に入ったらナイフをを使わせたい
第4章◎クックウエア&テーブルウエア
クーラーボックスを選ぶときの基準はありますか
クーラーボックスにたまった水は、すてるのですか
クーラーボックスの中身を長もちさせたい
氷屋さんの氷と自家製の氷。どこが違いますか
クーラーボックスをドライアイスで冷やしたい
クーラーボックスに温かいものを入れても大丈夫?
ジャグとポリタンク。どちらが使いやすいですか
数あるキャンプ用の食器のなかで、おすすめ品は?
キャンプのとき、いつもご飯が上手く炊けない
調理専用のいいテーブルが欲しいが?
調理器具や食器類の上手な持ち運び方と収納は?
パンチョのお気に入り「圧力釜」とタイマー
第5章◎快適なキャンプ生活のために
マットレスといってもいろいろ、どんなものが一番?
コットのことを詳しく知りたい
コットをテントで使ってもグランドシートはOK?
椅子を選ぶ基準がよくわかりません
テーブルは、何を基準に選ぶのですか
種類の多い寝袋。オートキャンプに適したものは?
汚れた寝袋を洗いたいが、いい方法を教えて
キャンプにつきものの虫。虫に対する注意は?
ハチに刺されたときは。自分で手当てできますか
子供が生まれたら連れていきたい。何歳から大丈夫?
第6章◎正しい焚き火とは
新しくできたキャンプ場は焚き火禁止がなぜ多い?
焚き火で知っていなければならないポイントは?
焚き火は穴を掘って、その中でするのが安全?
焚き火をするとき、確実に着火できる方法を教えて
焚き火は非常に難しい。手軽に楽しむ方法は?
焚き火の後始末は、水をかけて消すのが当たり前?
ダイオキシンの心配
第7章◎撤収から収納まで
撤収時に注意することは?
雨の日に撤収は大の苦手。効率のよい方法を教えて
ゴミ袋は全国共通ですか。ゴミの捨て方は?
ツーバーナーやランタンに残った燃料はどうするの?
寝袋の上手な畳み方と収納方法は?
ドーム型テントを小さく畳む方法を教えて
ペグに付いた泥やグランドシートに付いた泥は?
寒冷地で手づくりティピーに寝る
基本的には、
目次では分からないが、このあたりが、前提にある。
この前提に該当しないでも、読む価値はある。
20年前に刊行されたとは思えないほど、今でも十分役に立つ一冊。
著者のパンチョ向井氏にも触れておこう。
向井氏は、広告代理店勤務時代にコールマンジャパンを担当した。それがきっかけでアウトドアに興味を持ちアウトドア人生を歩みだしたそうだ。
【書評】ロスト・シンボル-ダン・ブラウン
- 2010-04-22 (木)
- 小説
著者:ダン・ブラウン
出版社:角川書店( 2010-03-03 )
ハードカバー ( 351 ページ )
ISBN-10 : 4047916234
ISBN-13 : 9784047916234
著者:ダン・ブラウン
出版社:角川書店( 2010-03-03 )
ハードカバー ( 356 ページ )
ISBN-10 : 4047916242
ISBN-13 : 9784047916241
ワシントンポスト紙に「まさにブラウン運動だ」と言わせたダン・ブラウンのラングドン教授シリーズの第三弾。
今回のテーマは、キリストの聖杯伝説、宗教と科学の対立に続いて、秘密結社フリーメイソンだ。
上下巻ではあるが、実際の内容は12時間程度の半日を描いており、ドラマ24のような分刻みの場面変更が読者を魅了する。
小説としては、いつも通りのスピード感と事実に立脚されていると思わせるような背景は楽しめた。しかし、聖杯伝説と違って、日本人には馴染みがない(と思われる)舞台が多く、なかなかイマジネーションを働かせて読み進めるのは難しいという印象。米国議会図書館の地下なんて、まったくイメージつかない。
なので、いくつか気になった点を調べた結果け紹介。書評とは言えず。
フリーメイソンの起源
(1)中世石工職人組合(ギルド)起源説
中世におけるキリスト教の大聖堂、修道院、宮殿などの建築や修復は、長期間にわたることが多く、その作業は親方(マスター)の指揮のもとで、建築家や職人のギルドによってなされた。ギルドの職人たちの集会所は「ロッジ」と呼ばれ、作業に必要な書類の保管場所であるとともに、職業上の秘密を伝達する儀礼の場としても使用された。フリーメイソンは、この中世の石工職人組合(ギルド)に起源を持つという説である。多くのフリーメイソン史の研究者がこの説を支持している。「ロッジ」という言葉は、13世紀頃登場し、「フリーメイソン」という言葉は14世紀頃から使われるようになる。
(2)聖堂(テンプル)騎士団起源説
聖堂(テンプル)騎士団は、1118年聖地エルサレムへ向かう巡礼者の保護を目的として結成され、貴族だけでなくさまざまな階層からなる巨大な組織に発展し、貿易・金融業等で莫大な富と権力を有するようになった。しかし14世紀の初め、その資産を狙ったフランス王フィリップ4世の陰謀により壊滅状態に追い込まれ、残党はスコットランドに逃れた。この残党(騎士)が再編した組織がフリーメイソンの起源であるという説である。この説は、フリーメイソンに貴族性を求めようとする人々によって支持されることとなった。
(3)「ソロモン神殿」建築家起源説
「ソロモン神殿」は、紀元前にエルサレムに存在したユダヤ教の礼拝の中心地で、古代ユダヤ民族の統合を象徴している。建築にあたり建築家棟梁ヒラム・アビフが、職人たちを「親方」「職人」「徒弟」に組織し、それぞれに秘密の合言葉や符丁などを用いさせるなどの工夫をして、完成させた。フリーメイソンは、このとき組織された職人集団を起源とするという説である。この説はフリーメイソン自身が主張している。
キャサリン・ソロモン博士の魂の重み実験
ダンカン・マクドゥーガル(Duncan MacDougall、-1920年)による実験がある。
人の患者と15匹の犬を使い、死ぬ時の体重の変化を記録しようと試みた。その結果、人間は死の際に、呼気に含まれる水分や汗の蒸発とは異なる何らかの重量を失うが、犬ではそういった重量の損失が起こらなかった、と報告した。
純粋知性科学について
学問領域としては、意識や思考には質量があることを証明する分野。
前2作と比較すると、特に日本人からすると馴染みの薄い主題ではないでしょうか。展開のスピード感は衰えていませんが、シリーズ含めて謎解きの構図は一緒。
米国建造物の歴史を学んで再度読むべき一冊。
【書評】使える!確率的思考-小島 寛之
著者:小島 寛之
出版社:筑摩書房( 2005-11 )
価格:¥ 756
新書 ( 222 ページ )
ISBN-10 : 4480062726
ISBN-13 : 9784480062727
銀座の宝くじで買っても当たる確率は、どれも一緒。だから1週間前から並んで買うような奴は馬鹿だと思う。いや今から思った。そして私はそこで買っていた・・。
偶然、銀座で1等賞が出たとする。そうすると、銀座で当たると評判が評判を呼び、買う人が増える。だから銀座で買った人の中で、当選者が出る確率は高まる。
と思っていた。
しかし、よく考えてみればおかしな話だった。
1枚の宝くじの当選確率は常に一定なのであって、今年も当宝くじセンターから1等賞が出ました!というのは、あくまでも大量に購入された場所だから、場所としての当たる確率が高いだけなのだ。
つまり、Aという場所は100枚しか売れない、Bという場所では1000枚売れたとすると、当然Aの10倍の販売枚数のBは10倍の当選確率だ。しかし、1枚あたりの確率は何ら変わりない。
こんな話を、確率論を忘れ去り、群がる銀座の宝くじセンターに並ぶ私に一筋の光を与えてくれた本書は、誰にでも勧めたい。
さて不確実性が高まっているといえば、それは誰もがうなずくだろう。
不確実性とは、平易に言えば将来何が起きるか分からないということ。
同義に「リスク」があるが、厳密には違う。リスクは過去データから可能性は導き出せるが、不確実性は生起確率が分からない。
その不確実性の時代を生きる中で、装備すべき知識が確率論だという。
確率論を知っているのと、使えるのでは大きく違う。使えるというレベルにまで持っていってくれるのが、本書だ。
参考までに、目次を。
Ⅰ 世界は不確実に満ちている
第1章 ツキに法則ってあるの?
第2章 確率法則ってなに?
第3章 確率だって使いよう
Ⅱ データの眺め方ひとつで世界は変わる
第4章 統計も見方ひとつでとっても面白い
第5章 標準偏差で統計の極意をつかむ
第6章 確率の日常感覚はゆがんでいる
Ⅲ 確率と意思決定
第7賞 ビジネスに役立つベイズ推定
第8章 人は、観測できない世界を見落とす
第9章 真似することには合理性がある
終章 不確実性下における選択の正しさとは何か
ビジネスマンであれば、ベイズ推定は知っているべきである。
誰もが使っているであろう、電子メール。使えば使うほど増えるのが、スパムメール。
このスパムメールを、どうにか弾きたい。このアルゴリズムに使われているのが、ベイズ推定だ。
簡単にいえば、条件付確率。SEXという単語が含まれるメールの中で、スパムである確率とスパムでない確率を割り出す(事前情報)、実際に次のメールにSEXを入っていたらどちらかに判断し、その確率をより精緻化する。こうして学習能力がついたメールフィルター、ベイジアンフィルターが完成する。
これ以外にも、統計文献学というものがある。
「ある作品がある作者のものかを統計学によって決定する」
学問だ。
例えばこんな学問だ。
とある図書館に保管されたひとつの詩。この詩がシェイクスピアによるものでは?との疑いがあるとする。
この詩を、語の使用法、単語の出現頻度を洗い出し、実際のシェイクスピアの詩の使用法や出現頻度と照らし合わせ、その確率を割り出してシェイクスピアによるものだと判断する学問だという。
これは、確率論の現実社会への応用のひとつといえる。
確率的な思考を身につけるということは、いつの世の中でも必要なことだと思う。
何も、2つの選択肢を確率だけで生きていくことは無いだろうが、確率論を知っているかどうかで大きく人生は異なるはずだ。
もし、平均して9時10分に到着するバスがあるとする。もし標準偏差という概念を知らなければ、「一昨日は9時00分に到着し、昨日は9時20分に到着したバス」と「一昨日は9時8分に到着し、昨日は9時12分に到着したバス」の違いは分からないだろう。平均すれば同じ9時10分に到着するバスだからだ。
平均値からのバラつきであろる標準偏差を知っていれば、回避できる問題かもしれない。
人生は、選択の連続であり選択しながら生きていく。その選択の判断に一役買ってくれることは間違いない一冊。






