著者:後藤武士
出版社:宝島社( 2008-06-03 )
価格:¥ 500
文庫 ( 348 ページ )
ISBN-10 : 4796663991
ISBN-13 : 9784796663991
つい先日、タレントのラサール石井が今年のセンター試験を受験したとテレビで言っていた。
また、自分の生後の時代が日本史に出題されていて、その問題は無事に解けたと同時に自分の生きている時代が既に日本の歴史になっているのを複雑な気持ちで語っていた。
例えば、これから100年後の日本史の授業で2000年代はどんな事が教えられるのだろうかと考えた。
政治的な話題としては、小泉首相の小泉ブームに始まり、2009年の民主党による非自民政権の誕生あたりでしょうか。郵政民営化も政治的な話題でしょう。地方分権の立役者として、宮崎県知事や大阪県知事の活躍も無視できない。
経済的な話題としては、IT革命とITバブルはこの時代に記述されるだろうし、米国から端を発した金融危機も2010年代へ渡っての不況・デフレのトレンドとして歴史に刻まれる。
経済的側面は、国内だけのトピックスでは完結できない時代として位置づけられるだろう。
それ以外だと、おれおれ詐欺やら格差社会やらニートやら、社会問題に焦点があたるだろうか。
日本史ではないが、海外では黒人大統領の誕生や、911テロは歴史に残るでしょう。
中国がWTOに加盟したり、ユーロの流通も2000年代だった。
日本史に刻まれる事柄は、100年前と比べたら大きく違うはずだ。
何よりも、日々蓄積される情報の量があまりにも違う。情報革命というIT化は歴史も変える力を持っている。
例えば100年以上も前の日本で起きた政治、経済、文化的側面は保存された文献から紐解く。その文献の量は時代に比例して増える。歴史の研究はより精度を増す。楽しみだ。
さて、前置きが長すぎたが、本書は「読むだけですっきり分かる日本史」だ。
文庫本一冊で、1000年以上の歴史を記述するわけだから、大雑把ではある。しかし日本の大きな流れは十分分かる。
決して年表の説明だけではなく、事柄と事柄の必然性や因果関係などは丁寧であるため、大きなトレンドが分かり、暗記科目といわれる日本史が、面白く勉強できる。
幕末の英雄達は、やはりかっこよく映っているが、戦後の日本でそれほどカリスマ性を持ち小説化されるほどの人物がいただろうか。いや、むしろ出ないのではないかと思う。
つまり、当時は情報が限られていたためにヒーローはヒーローでいられたはずだ。しかし現代では個人の多様性が叫ばれ、情報伝達にコストもかからない時代だ。政治不信に陥っている今、絶対的な政治的英雄が生まれる余地はない。
しいていうなら、小泉元首相くらいか?
また、日本の歴史は天皇を中心としてきたため、当然天皇の記述は多い。
戦後からは国民主体となり経済が中心の社会である。天皇の記述や政治的記述はさほど多くは占めないだろう。
何が歴史として残っていくのか、これからの日本史の教科書が楽しみだ。
なにはともあれ、日本史を学んで損する人はいない。一度頭を整理するための一冊。
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