- 2010-01-15
- 小説
著者:柳 広司
出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)( 2009-08-25 )
価格:¥ 1,575
単行本 ( 257 ページ )
ISBN-10 : 4048739603
ISBN-13 : 9784048739603
『ジョーカー・ゲーム』シリーズの第2弾である。
今回も結城中佐率いるスパイ組織「D機関」が主軸にあり、今回はライバル組織「風機関」との熾烈な争いが繰り広げられる。
構成は前回と同様、D機関の活動が短編集にまとめられている。
D機関は地方人と呼ばれる陸軍大学出身者以外で構成された諜報機関であるが、今回登場するのが風機関と呼ばれる陸軍大学上がりの精鋭部隊である。
「殺すこと」「殺されること」を忌み嫌う諜報組織D機関に対して、「殺せ」「自ら死すべし」を美とする陸軍出身の風機関は、真っ向から理念を異にする。
しかし、いずれ劣らぬ諜報機関であることは疑う余地も無く、諜報機関にスペアはいらないという諜報機関同士の食うか食われるかの熾烈な争いが最も面白いストーリだ。
両機関には、同じ目的を果たす組織として共通項は多い。1人の統括者と諜報員複数名、そして諜報活動に必要であろう知識、技術、耐性は全て互角ともいえる。
その意味で、諜報機関としての組織力は1人の統括者に拠る部分が多い。結城中佐なのか、あるいは風機関の風戸なのかその人間性が組織にうまく表現されている。
その2つの機関が、同じ事件でダブルブッキングしてしまう、いやダブルブッキングされていた。諜報機関は1つしか要らない、この事件で負けた組織が解体され、ダブルジョーカーとうい状況にはなりえない。
読者含め、先の先まで読みきれるかがカギとなる。
結城中佐が、魔王と呼ばれる所以がついに明かされる点も本作の醍醐味であろう。
恐らく大半の読者がそうであろうが、前作から読んでいれば間違いなく結城中佐ファンになってしまう。
どれだけ風機関が優秀であろうとも、きっと結城中佐が勝つだろうと、生き残るのはD機関だろうとついつい思い込んでしまう。これを安心感として片付けるか、手に汗握る息苦しさに欠けるというかは、読者次第。
本作品の読み方としては、「疑ってはいけない」に限る。
荒唐無稽な点もある、そんなにうまくいくのかい?と思う点もある、しかしそれを差し引いても読み応えがある本だ。
細かいところは気にせず、まずは鵜呑みにして読みすすめることを、お勧めする。
草食男子とはほど遠い、ハードボイルドな男に憧れる人にはお勧めの一冊。


