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【書評】パラドックス13-東野圭吾

書評

パラドックス13

著者:東野 圭吾

出版社:毎日新聞社( 2009-04-15 )

価格:¥ 1,785

ハードカバー ( 480 ページ )

ISBN-10 : 4620107395

ISBN-13 : 9784620107394





海外ドラマ「LOST」を思い出させるような東京を舞台としたパニックサバイバル小説。

13時13分からの13秒間、地球は“P‐13現象”に襲われ、何が起こるかは数学的に予測不可能だという。この想像を絶する中で10数人の登場人物が挫折・絶望を味わいながらも生きる意味を問う。

エンジニア出身の東野氏だけあって、もろ理系の硬い小説かと思いきやどちらかというとパニック&サバイバル&ヒューマンドラマチックな小説。

P-13現象に襲われた東京が舞台で、背景設計は海外ドラマ「LOST」!?と思わせるような「登場人物以外はいない世界」「破壊的世界からの脱出劇」「破滅と脱出の繰り返し」といったキーワードに沿って物語りは進んでいく。

登場人物は、警察官兄弟の兄をリーダーとして、看護婦、やくざ、技師、子育て中の母、女子高生、老夫婦などまるで世界の縮図のような配置。

彼らが織り成すメッセージは、「人間の究極の選択」「善悪の価値基準の崩壊」

このP-13現象の中では誰かの生存は、誰かの犠牲のうえにしかなし得ないという。
このとき、殺人さえもが善として新しい価値基準を作り上げてしまう。

そして彼らは「絶望」と「危機回避」の中で、常に極限の選択を迫られながら生き延びる。

日々、のらりくらりと生活している我々は、手に汗握りながら本書のページをめくることになるだろう。


本書は、数学的に予測不可能なP-13現象という科学的現象が起こるが、あくまで人間の極限や善悪の価値基準を剥き出しにするための方法であって、主題はその後のヒューマンドラマにある。

「数学的」という文句に惹きつけられた読者にとっては肩透かしに思われるかもしれないが、究極の状態で人間がどのような判断を下すのか、そしてそれが合理的なのか、正しいのか、善なのか。夏バテ気味の時期に背筋を伸ばす一冊。

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